特集
2017.9.1
代名詞 “one” の使い方【 “it” との違いって?】
数字の「1」を表す “one” は、代名詞として使うこともできるのはご存知ですよね。名詞の繰り返しを避けるために “it”(それ)のように使いますが、”it” とは用法が異なり、”one” を使うべきところで “it” が使われているケースもちらほら見受けられます。
“one” をうまく使いこなすことで、よりナチュラルな英語表現を身に付けましょう!
名詞の代わりの “one”
不特定の人やものを表す「不定代名詞」としての “one” は、可算名詞(数えられる名詞)の代わりに使うことができます。
修飾語がつかない場合
- A:
- Did you bring a bottle of water?
- B:
- Yes. I’ve got one.
- A:
- ペットボトルの水は持ってきた?
- B:
- うん、持ってきた。
上の例文の場合、”one” は “a bottle of water” を表しています。既出の ”a/ an + 単数形の可算名詞” の代わりに “one” を用いることができるのです。
なお可算名詞が複数形の場合は “ones” ではなく、”them” を用います。
- A:
- Do you love dogs?
- B:
- Yes, I love them very much.
- A:
- 犬好き?
- B:
- うん、大好き。
※上の例文の “them” は “dogs” を表します。
修飾語がつく場合
- If you’re ordering the mild curry, I’ll have the spicy one.
- 君が甘口カレーにするなら、僕は辛口にするよ。
上記の例文のように、“one” は形容詞などの修飾語がついた名詞の代わりに用いることもできます。この場合に注意したいのが、”one” が受けるのは名詞だけになるため、冠詞が必要になる点です。
“this one” や “that one”、”which one” などは、会話でもよく用いられます。
- A:
- Which cupboard did you say the plates were in?
- B:
- This one.
- A:
- どっちの食器棚にお皿があるって言ってたっけ?
- B:
- こっちの。
名詞が複数形の場合は、”ones” になります。
- Can you pick up some eggs from the supermarket? Large ones, please.
- スーパーで卵買ってきてくれる?Lサイズのやつで。
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「ピックアップ」とは違う?”pick up” の正しい使い方
“one” を使わないほうがよいとき
”one” を使わないほうが望ましいとされる場合もあります。特にフォーマルなスピーチや、書き言葉などにおいては、以下の点にご注意ください。
・不可算名詞(数えられない名詞)の代わりには使いません。
・可算名詞であっても、“system”(制度、組織)のような抽象的な名詞の代わりに使うのは不自然とされ、あまり代用されません。
・人称代名詞(”my/ your” など)や、名詞の所有格(”Tom’s/ Mary’s” など)、基数詞(”two/ three” など)の後では使えません。なお下記のように、形容詞を伴う場合は使えます。
- ◯ Tom’s new one [× Tom’s one]
- ◯ five nice ones [× five ones]
・“these”(これらの)や ”those”(あれらの)後に続く場合、”ones” は省略されます
- Which rolls did you want? These or those?
- どっちのパンがほしかったの?これ、それともあれ?
“one“ と “it” の違い
“it” を使っても既出の名詞(単数)を表すことができますが、”one” との違いは分かりますか?
“one” が不特定のものを指すのに対し、”it” は特定のもの、既出の名詞が表すものと同一のものを指します。以下の例文をご覧ください。
- We need an orange for this recipe. I’ll go buy one from the supermarket.
- このレシピにはオレンジがいるんだな。スーパーで買ってくるよ。
- There’s an orange in the fridge. Do you want me to get it for you?
- 冷蔵庫にオレンジが1つあるんだけど、取ってこようか?
1つ目の “one” は既出の “an orange” を指しますが、特定の “orange” ではなく、スーパーに売っているオレンジのうちの1つであればどれでもよい、ということを意味します。
一方、2つ目の “it” は既出の “an orange in the fridge” を指します。取ってきてほしいのは他でもなく、「冷蔵庫の中にあるオレンジ」なのです。ここで “one” を用いると、オレンジであればなんでもよい、となってしまいます。
では以下の例文は “one” と “it” のどちらが入るでしょう?
- A:
- Did you bring your passport?
- B:
- Yes, I’ve got【 】.
- A:
- パスポートは持ってきた?
- B:
- うん、持ってる。
【 】で受けるべき語は “your passport”(君のパスポート)と特定のものになるため、正解は “it” になります。
“the one” の使い方
既出の名詞は “the one”(複数形の場合は “the ones”)を用いて表すこともでき、下記の例文のように ”the one” を修飾する語句(現在分詞や過去分詞、前置詞句、関係代名詞節など)とともに使われます。
- A:
- Is this your bag?
- B:
- No, it’s someone else’s. Mine is the one you see over there.
- A:
- これはあなたのバッグですか?
- B:
- いいえ、誰か他の人のです。私のはあそこにあるやつです。
“the one” は可算名詞だけ?
基本的に “the one” は可算名詞の代わりに用いられますが、不可算名詞の代わりに用いられることもあります。例えば下記の例文のように、同一のものの異なる種類を比較する場合は可算名詞の性格を帯びるため、“the one” を用いることができます。
- This wine is better than the one we bought the other day.
- このワインはこの前買ったやつよりもいいものだ。
ちなみに “the one/ the ones” の代わりに ”that/ those” を使うこともできます。
- If you want any crackers, please take the ones/ those in the box that’s already open.
- クラッカーがほしかったら、もう開いてる箱があるから、そこから取って
どちらを使っても意味やニュアンスに違いは生じませんが、後に “of ~” が続く場合は ”that/ those” が使われることが多いです。
- Many people prefer Italian olive oil over that of Spain.
- 多くの人がスペイン産のオリーブオイルよりも、イタリア産を好みます。
なお “the one” は、人に対しても用いることができますが、その場合は “that/ those” に言い換えることはできませんのでご注意ください。
- A:
- Is that your daughter?
- B:
- No, she’s the one talking with the teacher.
- A:
- あれはお宅の娘さんですか?
- B:
- いいえ、うちのは先生と話している子です。
一般的な人を表す ”one”
一般的な人を表す “you” の代わりに “one” が用いられることがあります。
- One would assume that these books are for children.
- これらの本は子供向けの書籍だとみなされるだろう。
“you” に比べて、“one” を用いる方が改まった表現とされ、やや古めかしい印象を与えます。しかし会話などのカジュアルな場においても、一般に “one” がよく使われる傾向にあります。
なお、フォーマルな場においては “one” を用いる方が望ましいですが、そうでなければ、どちらを使うほうがよい、などは特にないようです。