意外と知らない「英単語の正しい使い分け」
2017.9.15
“understand” だけじゃない!「理解する」を表す英単語の使い分け
「分かる、理解する」を意味する英単語は “understand” が代表的ですが、そのほかにも様々な英語表現があります。状況によって最適な表現ができるよう、ひとつひとつの英単語の意味や用法、使い分けについて確認してみましょう。
- understand:「理解する」の意味で広く使われる、最も一般的な言葉
- comprehend:「理解する」過程や努力に重点を置く、フォーマルな語
- grasp:「つかむ」が原義。事実や考え、やり方などに用いる
- follow:「ついて行く」が原義。説明や人の話などに用いる
understand
「分かる、理解する」を意味する英単語としてすぐに思い浮かぶのが、“understand”。言葉の意味や人が言ったことなどを理解したり、物事や出来事が起こる経緯や理由、その重要性などを理解し、その結果、それを知識として有していることを表す言葉です。
言語や言葉の意味、人の言うことを理解する、という状況で使われることが多いです。
- Can you understand French?
- フランス語は分かりますか?
- We didn’t understand the point of her remark.
- 彼女の発言の主旨が私たちには理解できなかった。
- I’m afraid you don’t understand how serious the situation is getting.
- 状況がどれほど深刻になりつつあるか理解されていないようですね。
「分からない」は “I don’t understand/ know.”?
“I don’t understand.” も “I don’t know.” も、どちらも日本語にすれば、「分からない」と訳せる表現ですが、両者には意味の違いがあります。
“I don’t understand.” は「考えてみたが、理解できていないこと」を、”I don’t know.” は「頭の中に知識が入っていないこと(=知らないこと)」を表します。以下の例文をご覧ください。
- They are out of the office but I don’t know what they are doing.
- 彼らは外出中ですが、何をしているのかは分かりません。
上記のように、”I don’t know.” は「彼ら」が何かをしていることを話し手は知っているが、何をしているかは分からない(知らない)という場合に使われる表現です。一方、
- They are going to a conference about wildlife, but I don’t understand what they are doing there.
- 彼らは野生動物に関する会議に出席するのだが、なぜそんなところに行くのか理解できない。
“I don’t understand.” は、「彼ら」が何をしているのかを話し手は承知しているが、なぜそれをしているかは分からないという場合や、その行為が道理に合わないと話し手が感じている場合に使われる表現です。
なお上記の例文の “don’t” を “can’t” に変えると否定の意味合いが強まります。一度は理解しようと試みたが理解できなかったことを表すとともに、多くの場合その内容に対して話し手が不満を抱いていることを示すことになります。
- They are at a conference about wildlife but I can’t understand what they are doing there. It has nothing to do with their jobs!
- 彼らは野生動物に関する会議に出席しているのだが、なぜそんなところにいるのか理解できない。仕事と全く関係ないじゃないか。
comprehend
“comprehend” も「分かる、理解する」を意味する単語です。理解する過程や努力に重点が置かれ、フォーマルな印象を与える改まった表現です。
事実や考え、道理(理屈)などを十分に理解している状態を意味しますが、一般に否定文で使われる傾向にあります。
- Our minds are unable to comprehend how large the universe is.
- 宇宙がどれほど広いかということは私たちの理解を超えている。
- He did not comprehend the significance of the remark.
- その発言の重要性を彼は理解していなかった。
「理解力」は “comprehension”
“comprehend” の名詞形 “comprehension” は、「理解力」という意味です。
”reading comprehension”(読解力)や “comprehension questions”(練習問題)といったフレーズで、耳にしたことがあるかもしれません。
grasp
“grasp” は、事実や考え、やり方などを理解する際に使われる表現です。もともとの意味は「ぎゅっとつかむ、しっかりと握る」ですが、比喩的に「理解する」という意味でも使うことできます。
ちなみに、日本語の「把握する」という言葉も、もともとは「手でしっかりとつかむこと、握ること」を意味する言葉でしたが、比喩的に「理解する」の意味で使われるようになった言葉です。違う言語なのに「つかむ」→「理解する」という発想が同じで面白いですよね。
- Before starting a new book, I usually read the introduction carefully so I can fully grasp the background.
- 普段、本を読み始める前には、その本が書かれた背景を十分に理解するために序章をじっくり読む。
- The government failed to grasp the gravity of the accident.
- 政府はその事故の重大さを理解できていなかった。
“grasp” と “understand” の違い
“grasp” も “understand” も、意味や重要性を理解するという行為に対して使うことができますが、言語や言葉、文書(書かれたもの)を理解する、という場合では ”grasp” を使うことはできません。
- A:
- Do you know what this says?
- B:
- Sorry, I don’t understand [× grasp] German.
- A:
- これ何て書いてあるか分かる?
- B:
- ごめん、ドイツ語は分からないんだ。
follow
“follow” も「分かる、理解する」という意味で使うことができ、物事の経緯や説明、意味合いなどを理解する際に用いることができます。日本語でも、「議論や説明についていく」というように、”follow” のもともとの意味「~についていく」をイメージすると分かりやすいかもしれません。
一般に否定の形で使われることが多く、肯定の形で使われる場合も完ぺきには理解できていなかったり、一部理解できていない部分があるといった文脈で使われることが多い動詞です。
- I was able to follow up until the last sentence. Could you repeat it?
- 最後の文までは理解できました。最後の部分をもう一回言ってもらえますか?
- I think I follow… but could you explain one more time just to be safe?
- 理解できたと思いますが… 念のためもう一回説明していただけますか?
and more …
身近な動詞を使っても、「理解する」を表すことができます。
see
“see” も「分かる、理解する」という意味で使うことができ、今起こっていることや、相手の言っていること、物事がどのように機能しているかなどを理解する、という状況で使われる表現です。なお、進行形で使われることはありません。
もともとは「自然に目に入る」という意味を持つ “see” なので、目的語が具体的なもの(目に見えるものや触れられるものなど)の場合は、文字どおりの「見える」の意味で解釈されます。
これに対し、比喩的に「分かる、理解する」という意味で使われる場合、一般に “point” や ”reason” といった抽象的な言葉が目的語になるのがポイントです。
- I can see why she is so angry at him.
- どうして彼女がそれほど彼に腹を立てているかは理解できる。
- I saw the point he was trying to make, but I just didn’t agree.
- 彼の言おうとしていることは理解できたが、賛成できなかった。
“I see.” と “I understand.” の違い
”I see.” は、相手の言ったことを理解したときや、今まで分からなかったことが分かった際によく使われる表現です。“(Oh,) I see.” は、メールやSNSなどの非常にカジュアルなメッセージで、”OIC” や ”IC” のような略語として使われることがあります。
一方 ”I understand.” は、相手から伝えられた自分にとって好ましくない情報を受け入れることや、それに納得したことを示す際に使います。
- A:
- I’m sorry, it’s company policy to give away the seat if the customer is more than 30 minutes late.
- B:
- I understand.
- A:
- 申し訳ありませんが、会社の決まりでお客様が30分以上遅れた場合、座席は空席待ちの方に提供することになっています。
- B:
- 分かりました。
また上記に加えて、相手の言ったことを真剣に受け止めている、ということを示すために使われる場合もあります。
- A:
- You can’t tell a soul about this.
- B:
- I understand.
- A:
- このことは誰にも言っちゃだめだよ。
- B:
- 分かった、言わない。
get
“get” が「分かる、理解する」の意味で使われる場合、親しい間柄などで使われるくだけた表現になります。相手が伝えようとしていることや、相手が説明しようとしている状況、ジョークなどを理解する際に使われる表現です。
“I get it.”(分かったよ。)は決まり文句で、相手から説明などを受けた際に、その内容を理解したことを表すフレーズです。
- A:
- Does that make sense?
- B:
- Yes, I get it now.
- A:
- それで分かるかな?
- B:
- うん、もう理解できた。
- At first, I didn’t get his joke.
- 最初は彼のジョークが理解できなかった。
“I get it.” と “(I’ve) Got it.” の違い
“I get it.” と似た表現に “(I’ve) Got it.” があります。これは、相手が言ったことに対し「了解したこと」を示すことができ、さまざまな場面で、さまざまな相手に対して使うことができる表現です。
- A:
- I might be a little late, so you can go ahead.
- B:
- Got it.
- A:
- ちょっと遅れるかもしれないから、先に行ってていいよ。
- B:
- 了解。