意外と知らない「英単語の正しい使い分け」
2017.7.14
「難しい」の “difficult” と “hard” の違いって?
「難しい」は “difficult” や “hard” で表すことができますが、その違いってご存知ですか?
使い分けについて難しく考える必要はありませんが、それぞれの語が持つニュアンスが理解できると面白いものです。類義語と併せてチェックしてみましょう!
- 「難しい」という意味では、ほぼ同義
- “difficult” は複雑さを伴う難しさを示唆、”hard” にはそのニュアンスはなし
- “difficult” の方がややフォーマル
“difficult” と “hard” の違いって?
“difficult” も “hard” も「難しい」という意味で使う場合は、一般にどちらを使っても意味に大きな違いはありません。
- This game is a bit difficult/hard for beginners.
- このゲームは初心者にはちょっと難しい。
- That was a difficult/hard decision for us to make.
- それは我々にとって難しい決断だった
しいて言えば、”difficult” の方がややフォーマルな印象を与えます。また “difficult” は複雑さを伴う難しさという意味合いを含みますが、”hard” にそのようなニュアンスはありません。
一方、“hard to believe”(信じがたい)や “hard to say”(言いにくい)のように、後に不定詞が続く場合は “hard” を使うことが好まれますが、これらを ”difficult” に置き換えても特に問題はありません。
ニュアンスの違い
このように2つの語はどちらを用いても問題ない場合が多いのですが、それぞれの持つニュアンスについて、もう少し掘り下げてみましょう。
- This project is really hard work.
- このプロジェクトは本当に骨が折れるな。
例えば上記の文のようなケースでは、ネイティブスピーカーは ”difficult work” とはおそらく言わないでしょう。
“difficult work” という言い方をした場合、その ”work” は単に努力や労力を要するだけではなく、例えば外科手術のような、高度な知識や技術が求められるような難易度の高い作業であるという印象を与えます。
一方でプロジェクトが ”hard work” だと言った場合、通常その意味するところは時間や手間がかかることや多くの作業を要するようなケースについて述べているはずなので、ネイティブスピーカーは上記の文脈では “difficult work” とは言わないのです。
この例からもわかるように、どちらも成し遂げるのに労力や努力、技能や知識などを必要とすることを意味する ”hard” と ”difficult” ですが、前者のフォーカスが骨を折ること、労力を使うことにあるのに対して、後者は高度な技能や知識を要するような難しさに重点を置いて使われる傾向があると言えるでしょう。
“difficult” しか使えないケース
“difficult” には「気むずかしい」という意味もあり、”difficult customer”(気むずかしい客)のように人に対して使います。
- I don’t mean to be difficult, but could you please leave new documents in the top tray? I sometimes miss them if they go in the other trays.
- 口うるさいことを言うつもりはないんだけど、新しい書類は一番上のトレーに入れてくれるかな?他のトレーに入ってると、気づかないでそのままになってしまうことがあるから。
and more …
”tough”
“tough” には「困難な」や「骨の折れる」といった意味があります。”difficult” や “hard” に比べてカジュアルな表現です。
- I’m sorry to hear about your breakup. That’s a tough break.
- 別れたんだって、気の毒に。不運だったね。
なお以下の例のように「難しい」ではなく、「かたい」や「頑丈な」といった意味で使っている場合は ”hard”や ”difficult” に置き換えることはできません。
- This meat is a bit tough.
- この肉はちょっと硬いな。
- He’s a really tough guy.
- 彼はとても屈強な男だ。
”challenging”
“challenging” は「難しい」ものの、やりがいや達成感などが得られるような事柄に対して、ポジティブな意味で使われることがあります。
- I’d like a more challenging job, to be honest.
- 正直言って、もっと歯応えのある仕事がしたいです。
“difficult” には ”challenging” のような肯定的な意味はないため、このような文脈で ”difficult job” と言ってしまうと、まるで「もっと面倒くさい仕事がしたい」と言っているような印象を与えてしまうでしょう。