意外と知らない「英単語の正しい使い分け」
2017.5.26
「~前」と時間を表す “ago” と “before” の違い
“ago” も “before” も “three years ago/before”(3年前)のように時間を表す副詞ですが、違いは分かりますか?
それぞれの本質が理解できれば使い分けは簡単。それぞれのポイントを確認してみましょう!
- ago「今より~前」:基準は現在
- before「そのときより~前」:基準は過去のある時
”ago” と “before” の違いって?
次の文の場合、【 】に入るのは “ago” と “before” のどちらでしょう?
- A:
- When did you first meet him?
- B:
- I met him three years【 】.
- A:
- 彼と初めて会ったのはいつですか?
- B:
- 3年前です。
正解は……”ago”。
”I met him three years ago.” が正しい文となります。
“ago” は「現在/今」を基準にした表現で、「今から~前」という意味です。現在が起点となるため、過去形の文で使われます。
- I met him three years ago .
- 私は今から3年前に彼に会った。
一方 “before” は「過去のある時」を基準にした表現で、「(そのときより)~前」という意味。過去のある時が起点となるため、動詞の時制は過去完了になります。
- She said that she had met him three years before.
- 3年前に彼に会ったと彼女は言った。
ちなみに上の文の場合、「彼女が発言した時点」から3年前ということになるため、必ずしも「今」から3年というわけではありません。
なお “before” は “ago” とは異なり、特定の時間を表す語句を伴わずに “before” 単体で「以前」という意味で用いることもできます。
- I have met him before.
- 以前彼に会った。
間接話法と直接話法
英語では、上の文のように、他者の発言内容を話し手の言葉で伝える「間接話法」と、他者の発言内容を引用符(“” など)で囲ってそのまま伝える「直接話法」があります。
- 間接話法:
- She said that she had met him three years before.
- 直接話法:
- She said, “I met him three years ago.”
- 3年前に彼に会ったと彼女は言った。
直接話法は、その時に発せられたセリフをそのまま引用しているので、あくまでもその時点での「今」が基準点になります。そのため、「今から~前」を意味する ”ago” を使い、動詞の時制も今よりも以前であることを表す過去形が使われます。
これに対して、間接話法では、「言った」時点が基準点になり、「そこから見た~前」を示すことになるので ”before” を使い、過去のある時点から見た過去を表す過去完了の文になるため、注意が必要です。
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”ago” の言い換え
“ago” の代わりに “back” を用いることもできます。主に話し言葉で使われることが多いです。
- I went there a few years ago.
- I went there a few years back.
- 数年前にそこに行った。
”before” の言い換え
“before” の代わりに “earlier” や “prior” を用いることもできます。
- They realized they had met several years before.
- They realized they had met several years earlier.
- They realized they had met several years prior.
- 彼らは何年か前に会っていたことに気付いた。
※”prior” は他の2つと比べると使われる頻度は低いです。