意外と知らない「英単語の正しい使い分け」
2017.4.14
「~させる」の “let”、”make”、”have” の違いって?【使役動詞】
“let” や “make”、”have” は「使役動詞」と呼ばれ、“let / make / have ~ do(動詞の原形)” で「(人・物などに)~させる」という意味になります。日本語に訳すとどれも同じように思えますが、それぞれが表す意味や用法は異なるため、使い分けが必要です。
今回はこの3つの使役動詞に注目してみましょう!
- let:~することを許す・許可する
- make:強いて~させる
- have:義務や仕事として~させる
「~させる」のニュアンス
let
“let” は「~することを許す・許可する」という意味。自由に~させておく、という容認の意味を含みます。”let” を使うべきか迷った時は、「~を許可する」と訳しても意味が成立するかどうかチェックするとよいでしょう。
メールなどでよく見る “please let me know” も、直訳すれば「私が知ることを許可してね」になり、そこから「私に知らせてね」という意味で使われています。
- When I was a child, my mother didn’t let me watch that show.
- 子どもの頃、母は私にその番組を見させてくれなかった。
- Please let me know the availability of rooms for Golden Week.
- ゴールデンウィークの部屋の空き状況を教えてください。
make
“make” は「強いて~させる」という意味。強制の意味を含み、結果として逆らえない(抗えない)行為を表します。自分の意に反して何かをさせられる(せざるを得ない)場合が多いです。
- The teacher made him write an essay as punishment for his bad behavior.
- 教師は悪いことをした罰として、彼に反省文を書かせた。
- The accident made us realize the importance of preventive measures.
- その事故で私たちは予防策の重要性を認識した。
※2つ目の英文は「無生物主語の構文」と呼ばれます。原因や理由、方法、手段、条件などといったもの(無生物)が主語となって、人間を「~させる」という構文のことです。日本語にはあまりない発想ですが、こうした言い方も使いこなすことで、ナチュラルな英語に近づきたいですね。
have
“have” は「義務や仕事として~させる」という意味。例えば上司が自分の部下に指示を与えて仕事をさせる場合や、客が店員に何かをしてもらうような場合のように、「させられる」側は相手の依頼などが妥当であると感じていることが多いです。
「させられる」側がその行為をすることに納得している点が、意志にかかわらず強制的にやらせる “make” との違いです。
- I’ll have my secretary make a copy of the document later.
- 秘書にその文書をあとでコピーさせます。
- Instead of taking a selfie, the tourists had a souvenir shop clerk take their picture.
- 観光客たちは自撮りする代わりに、みやげ物屋の店員に写真を撮ってもらった。
理解度をチェック!
3つの使役動詞の違いが理解できたか、チェックしてみましょう。
次の文章で用いるのは “let”、”make”、”have” のどれでしょうか?
- (1)The drill sergeant【 】us do fifty push-ups every day.
- 訓練教官は毎日私たちに腕立て伏せを50回やらせる。
- (2)I’ll【 】my people call your people to set up a date.
- 部下にそちらに連絡させて、日程を決めさせます。
- (3)My boss【 】us go home early sometimes on a Friday.
- うちの上司は金曜日に早めに帰らせてくれることがある。
正解は、以下のとおりです。
- (1)The drill sergeant makes us do fifty push-ups every day.
- ”make” は「強いて~させる」という意味。訓練教官の命令により、腕立て伏せをやらざるを得ない状況を表します。ほかにも教師や親が、罰として子供に宿題や掃除などをさせたりする行為には “make” を用います。
- (2)I’ll have my people call your people to set up a date.
- ”have” は「義務や仕事として~させる」という意味。上司が部下に業務指示を出している状況ですね。”make” が有無を言わずに従わなければならないのに対し、”have” は納得感を持って従う点がポイントです。
- (3)My boss lets us go home early sometimes on a Friday.
- ”let” は「~することを許す」という意味。上司が早めに帰ることを許可する、ということですね。
このように、日本語にすると「~させる」となる “let” や ”make”、 ”have” ですが、それぞれニュアンスが異なるため、使い分けが必要です。ぜひ今回挙げたポイントを憶えておいてくださいね。
and more …
”get ~ to do”
“have ~ do(動詞の原形)” は、”get ~ to do” を使っても同じことが言えますが、”get” の場合は、説得や依頼によって「~させる・してもらう」というニュアンスになります。
“have” は、立場が上の者が下の者にする「命令」に近いニュアンスになることから、表現を柔らかくするために “get” を用いるケースもあるようですが、意味としてはほぼ同じです。(”get” の場合は動詞の前に “to” が必要なので、ご注意を!)
例えば、以下の文章をご覧ください。
- I’ll have him fix your computer for you.
- あなたのパソコンを彼に直させます。
- I’ll try to get him to fix your computer for you.
- 彼に頼んで君のパソコン直してもらうよ。
意味としてはほぼ同じですが、”have” の方は「彼」が部下や自分の息子などである印象が、”get” の方は「彼」が友人などである印象が、聞き手に与えられます。
なお基本的に “have ~ do” の文章は、“get ~ to do” でも表現可能なことが多いですが、その逆は不可能な場合があります。例えば以下のような文章です。
- I got my manager to let me take the rest of the day off.
- 上司に頼んで早退させてもらった。
この場合、上司に「お願いして」早退を「許してもらう」ので、命令のニュアンスを持つ “have” では早退を「許させる」となり、おかしくなってしまうのです。
過去分詞を使った表現
“have ~ do(動詞の原形)” と似た構文で ”do(動詞の原形)” の部分が過去分詞になる場合があります。どちらの構文を使うかは「~」の部分が、後に続く動詞の動作を「する側」か「される側」で判断することができます。
- I usually have my wife cut my hair.
- 妻に髪を切ってもらうことが多い。
(“my wife” は ”cut” する側 なので原形を用いる)
- I usually have my hair cut by my wife.
- 髪は妻に切ってもらうことが多い。
(“my hair” は ”cut” される側 なので過去分詞を用いる)
※この場合、1つ目の文章の方がナチュラルな表現です。
現在分詞を使った表現
“have ~ do(動詞の原形)” は、”do” を “doing(現在分詞)” にすることもでき、同じ意味になりますが、”do” を用いる方が一般的です。
現在分詞を用いた “have ~ doing“ の場合は、「予期していなかった結果」(下記1つ目の例文)や「間接的に~させる」(下記2つ目の例文)といったニュアンスを含むことがあります。
- This project had me doing overtime for three months in a row.
- このプロジェクトのせいで、3か月連続で超過勤務することになってしまった。
- I tell you, my lasagne is so good, I’ll have you licking your plate!
- 私のラザニアはすごいの。おいしくて、あなたお皿までなめるわよ。
受動態にご注意を
“make ~ do(動詞の原形)” は受動態になると、動詞の前に “to” が必要になるためご注意を。
- The medicine made me feel even worse.
I was made to feel even worse by the medicine.
- その薬を飲んだら、さらに具合が悪くなった。
ちなみに他の使役動詞の “let” や “have” が受動態になることは、ほぼありません。”let” の場合は、”be allowed to” や “be permitted to” などと言い換えるのが自然でしょう。