意外と知らない「英単語の正しい使い分け」
2017.7.7
「~のように見える・思われる」の “seem”・”look”・”appear” の違い
「AがBのように見える(思える)」といった意味で使われる “seem”・”look”・”appear” は、どのように使い分けていますか?
今回はこれらの英単語を、意味上の違いと構文上の違いから比較してみましょう。
- 客観的な事実や印象にも、話者の主観や感情が入った印象にも使える “seem”
- 見た目などの視覚的な情報に基づく印象には “appear”・” look”
- “seem”・”appear” は、不定詞やthat節を伴うことができる
- “seem”・”look” は、“like/as if + 文” を伴うことができる
意味における違い
“seem”・”look”・”appear” のいずれも、「~のように見える」と訳すことができ、通常言い換えできる場合が多いですが、それぞれが含むニュアンスは微妙に異なります。
まず、状況などから察して、話し手の主観で判断しているような場合は “seem” を使います。
- He seemed a bit embarrassed to be seen with his girlfriend.
- 彼女と一緒にいるところを見られて、彼は少しきまりが悪そうだった。
- It seems unlikely that this movie would attract a large audience.
- この映画を多くの人が観に来ることはなさそうだ。
一方 ”look” や “appear” には、話者の主観や感情が含まれることがありません。対象の人や物の見た目や様子、行動などの視覚から得た情報から客観的に判断している場合に使います。
- She looked very nervous before the game.
- 試合前、彼女はとても緊張しているようだった。
- My brother appears tough but is actually quite sensitive.
- 私の兄は強そうに見えるけど、実はかなり繊細なの。
構文における違い
次に、構文上の違いに目を向けてみましょう。
seem / appear
まず、“seem” と ”appear” は、直後に形容詞や名詞、不定詞を置くことができます。なお、話し言葉では ”seem” の方が使われる傾向にあります。
- His forecast seems more accurate than that of other financial analysts.
- 彼の予測は他の金融アナリストのものよりも正確であるようだ。
- The man appeared nice but later turned out to be really cunning.
- その男は親切そうに見えたが、極めて狡猾であることが後でわかった。
- There seems/appears to be a bug in this software.
- このソフトにはバグがあるようだ。
- Someone seems/appears to have visited me while I was away.
- 留守中誰かが家に来たようだ。
※最後の例文のように、”seem/appear” と後に続く不定詞の時制にズレがある場合は、完了不定詞を用います
“They seem happy.” と “They seem to be happy.” の違いって?
“They seem happy.” と “They seem to be happy.” は、どちらも「彼らは幸せそうだ」となり、意味上の違いはありません。これは “appear” を用いた場合も同様です。
一般に “to be” を省略するほうが口語的とされますが、”alone”(孤独で)や “asleep”(眠って)のように、程度の差がない(白黒はっきりした)形容詞の場合は “to be” を省略しない傾向にあります。
- He seemed to be alone.
- 彼は孤独なようだった。
ちなみに上記の文章の “seemed” を、視覚情報をもとにした客観的な判断を表す “appeared” にすることで、“alone” は「孤独」ではなく「一人ぼっち」という意味合いになります。
主観的判断を含み得る ”seem” と、含まない ”appear” の違いがよくわかる例です。
- He appeared to be alone.
- 彼は一人のようだった。
また “seem” と ”appear” は、”It seems/appears that ~” の構文に書き換えることができます。
- It seems/appears that the old man is pretty wealthy.
(The old man seems/appears to be pretty wealthy. )
- その老人はかなり裕福そうだ。
- It seems/appears that the old man was fairly wealthy in the past.
(The old man seems/appears to have fairly wealthy in the past.)
- その老人は、かつてはかなり裕福だったようだ。
一般的に “It seems/appears that ~” の構文に比べ、”The old man seems/appears ~” の方が口語的で、頻繁に使われます。
また主観的な判断である印象を与えるのに対し、“It seems/appears that ~” の構文は、主観以外の情報に基づいていることを示唆します。
look
“look” も直後に形容詞を置くことができますが、文章を続ける場合には “like” や “as if” を用いる必要があります。(“like” の場合は名詞を置くことも可能です。)
- It might look like I’m playing a game, but I’m studying using a language learning app.
- ゲームで遊んでいるように見えるかもしれないけど、語学学習アプリで勉強してるんだよ。
- 彼女は幽霊でも見たような顔をしていた。
※“seem” も同様に、“like” や “as if” を伴うことができます
※”as if” は “as though” と表現することもできます
聴覚的な情報には “sound”
耳から入った情報に基いて抱く印象については、”sound” を用いて「~のように思える」と表現できます。誰かの意見に対して “Sounds good!”(それいいね!)と言うのも、この用法ですね。
なお ”sound” は、本などの文字情報に基づく印象についても使われます。
“sound” も “look” と同じく、直後に形容詞を置くことができます。また、”like” や “as if” を用いることで名詞や文章を続けることができる点も同じです。
and more …
”seem to ~” の否定文
“seem to ~” の否定文は、以下のように2つの形をとることができます。
- He doesn’t seem to know what he’s doing.
- He seems not to know what he’s doing.
- 彼は自分が何をしているかわかっていないようだ。
一般的に前者の “not seem to ~” の方が、会話でも多く使われる傾向にあります。
どちらも意味に違いはありませんが、”seem not to ~” の方が古めかしい印象を与え、小説や映画などで使われるような表現になります。